2010年04月14日

名張毒ぶどう酒事件 惨劇の公民館すでに撤去(毎日新聞)

 集落は田んぼや茶畑に囲まれた静かな山すそにある。「名張毒ぶどう酒事件」から丸49年となる今年3月28日、事件の舞台となった三重県名張市の葛尾地区を訪れた。市中心部から北西に約5キロ。桜並木はまだつぼみのままだった。「あまり思い出したくないね」。事件について、地元の住民は言葉少なだ。現場は当時と一変、外部からの訪問者に惨劇を思い起こさせる痕跡は見当たらなかった。【伊藤一郎】

 急な坂道を歩いて上ると目の前にゲートボール場があった。事件現場だった公民館は小高い丘の上にあったが、建物はかなり前に取り壊されたという。

 敷地の片隅に大きなムクの老木がそびえ、枝の下に黒い種が落ちていた。「ムクの種は羽子板の羽根の重りになる。この木は、事件の真相を見ていたかもしれないな」。近くにいた地元の区長、福岡芳成さん(61)が話してくれた。

 道を挟んで南側の広場の集合墓地に、犠牲者を慰霊する背の高い仏像がまるで多くの墓を見守るように立っている。その仏像の顔の向きと反対側。今は畑となっている場所に、かつて奥西勝死刑囚(84)の家の墓だけがポツンと離れてあった。今は家族の手で別の場所に移されたという。

 同じ日に現地を訪れていた奥西死刑囚を支援するグループが、仏像の前に供養の花束を供えた。福岡さんはその様子を遠目に見ながらいらだつように話した。「遺体解剖が行われた場所を踏んでいることも知らないのに、事件の何が分かる」

 墓地がある丘の下には以前、奥西死刑囚の家があった。その家から現場までは、歩いて1分足らず。隣には、奥西死刑囚が公民館に運ぶぶどう酒を取りに行った当時の地区会長の家が今もある。数分で歩き回ることのできる範囲内で、日本中を騒がせた事件が起きたとは想像できない。

 近所の女性に話を聞いた。「事件の日は毎年、地域で集まって供養していたが、十三回忌でやめてしまった」。別の女性は「事件後は公民館に寄るのも怖かった」という。「忙しいから、そんな話しゃべっちゃおれん」。ある男性は目をそらし問いかけを遮った。記者が来なければ、この日が事件当日だと思い出すこともないのにと感じているようだった。

 県境をまたぎ、奈良県側に出ると、視界が広がった。眼下には奥西死刑囚が「農薬の瓶を捨てた」と「自白」した名張川が見えた。

 最高裁は5日付の決定で、混入農薬について疑問を示し名古屋高裁に審理を差し戻した。発生から半世紀近く。惨劇の痕跡は消えても、住民たちは事件の記憶をぬぐい去ることはできない。

 【ことば】名張毒ぶどう酒事件

 61年3月28日、三重県名張市葛尾の公民館で開かれた住民の懇親会で、農薬入りぶどう酒を飲んだ女性5人が死亡、12人が重軽傷を負った。「妻と愛人との三角関係を清算しようとした」と供述した奥西死刑囚(当時35歳)が殺人容疑などで逮捕されたが、起訴直前に全面否認に転じた。1審津地裁は無罪、2審名古屋高裁は逆転死刑、最高裁(72年)で死刑が確定。高裁は第7次再審請求審(05年)で再審開始を決めたが、異議審で取り消した。

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2010年04月13日

「国会見たい」急増 ネット視聴最多に 昨年のアクセス数1.5倍、379万件(産経新聞)

 国会審議のすべてをインターネットで中継する「衆議院TV」と「参議院インターネット審議中継」のアクセス数が、平成21年はともに過去最高となったことが分かった。ミニブログ「ツイッター」の利用など政治家側からの情報発信が増える一方で、国民の側からも「国会審議を見たい」という欲求が高まっているようだ。

 ネット中継は、参院が10年、衆院が11年にそれぞれ開始。テレビ中継が予算委員会や党首討論などに限られるのとは異なり、すべての委員会を網羅しているのが特徴だ。生中継のほかに、過去の審議の録画も視聴できる。

 衆院によると、21年のアクセス数は、生中継と録画を合わせて378万7千件で、前年の241万6千件から1・5倍に跳ね上がった。

 21年は衆参「ねじれ国会」や衆院選などの影響で審議時間は約1580時間にとどまり、委員会の開催数も減少していた。それにもかかわらずアクセス数が過去最高になったことで、関心の高まりが明らかになった格好だ。

 国会審議は両院のほかに、民間会社の「シー・ネット」がネットやケーブルテレビで「国会TV」を提供している。同社によると、映像は現在、ネットのほかはケーブルテレビ4局を通じてしか見ることができないが、昨夏の政権交代以後は引きあいが増え、新たに約20局のケーブルテレビに提供が可能となっており、現在、それぞれの局の番組改編を待っているという。

 ちなみに昨年、衆議院TVのアクセス数が最も多かったのは、11月4日の予算委員会。この日は鳩山由紀夫首相の政治資金収支報告書の虚偽記載問題が追及され、鳩山首相は「元会計責任者を信頼しきっていた」などと答弁していた。

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